ああ、こんなメールをよくもらう・・・
From The Joel on Software Translation Project
Joel Spolsky / 青木靖 訳
2006年11月9日 木曜
ベインのマネジメントコンサルタントが私に素敵なメールをくれたのだが、その中に次のような一文があった。
- 「裏返しに見た開発パフォーマンスメトリクスや、プロセスと組織の問題に対するベストプラクティスアプローチをソフトウェア開発(それにシステムインテグレーション)にかかわる様々な企業から集めるためのベンチマーキングの努力を私たちのチームでは進めています」
私には彼の書いていることが全然わからなかった。私の頭の中にアラームみたいなうるさい音を鳴り響かせる言葉(「ベンチマーキング」「裏返しに見た」「パフォーマンスメトリクス」「ベストプラクティス」「プロセスと組織」)が、そのメールにはたくさん含まれていた。その騒音のあまりのうるささに、気が散ってメールの文面がまるで解読できなかったのだ。
これはソフトウェア組織のパフォーマンス測定についての話なのかな?と思った。ああ! そうか! それならわかる。それはできないんだ。そんなのやめることだ。すぐに。
よく聞いて。マネジメントコンサルティング会社とソフトウェア開発組織の秘密について教えてあげよう。
ゲームはこんな風に進められる。
大きなコンサルティング会社が大きな石油会社に電話する。「ねえ、おたくソフトウェア開発の生産性をもっとあげるための手助けは必要じゃない?」
大きな石油会社は答える。「ああ、何だって買うとも」。そして彼らは1,000,000ドルのソフトウェア生産性コンサルティングの契約を結ぶ。
コンサルティング会社はやってきて、「開発者あたりのステップ数」だとか、あるいは本当に高慢な連中であれば「プログラマ1日あたりのファンクションポイント数」みたいな、いんちきなものをたくさん計測する。それから石油会社に「おやおや、おたくじゃ73.844%の生産性しか出てないよ。あと2,000,000ドル出してもらえれば、生産性を2倍にしてあげられるけど」と言う。
石油会社は2百万ドル払う。
コンサルティング会社が入ってきてプログラマをみんな部屋に集め、彼らにファンクションポイントやなんかについて説明し、生産性がいかに重要かという話をする。
プログラマたちは映画Office Spaceでコンサルタントのボブがみんな解雇しろと進言していたシーンを覚えている。
そうしてプログラマたちはずっと多くのファンクションポイントを書くようになる。たとえば、すべてをXMLファイルを通すようにコードを書き換えるだけでファンクションポイントを3倍にすることができる。すごい時間の無駄で、バグを生みやすく、何の意味もないが、しかしファイルに触るたびにファンクションポイントは増えていくのだ。イェイ!
コンサルティング会社がもう一度測定してみると、見よ、XMLへのラウンドトリップのおかげでファンクションポイントが劇的に増加している。コンサルタントは石油会社に生産性が151.29%になったと報告する。ミッション完了。
だけどそれだけでは終わらない。コンサルタントは今度は別な石油会社のところへ行く。「ねえ、おたくの同業が151.29%の生産性を達成した話は聞いてる? おたくではどうしてるの?」
石油会社No2はびっくりする。彼らは初期調査の分の支払いをする。彼らは83.948%の生産性しか上げていない。なんてことだ。そしてこのサイクルが繰り返される。
このペテンが可能なのは、知識作業する組織におけるパフォーマンスメトリクスというのは簡単に裏をかくことができるためだ。一番傑作なのは、そういった会社で働いているマネジメントコンサルタントたち——すごく見た目が良く、成績を4.0でそろえたハーバードのロシア文学出の聡明でまじめなシマリスたち——の多くは、そのことがわかってないということだ。だから彼らは自分たちでそうしているとも知らずにこれをやっているのだ! MBAスクールの途中の2年のアソシエートプログラムを通じ、彼らは生産性に関しては何も成し遂げておらず、やったことといえばExxonMobilConocoからBainMcKinseyGartnerのシニアパートナーへの意味のない財の移転だけだということを認識すらしていない。そしてそれは楽しいに違いない! ファーストクラスでヒューストンやオスロに行けるんだから! 世界がもっと生産的になる手助けをするのだ! 若く見た目のいいマネジメントコンサルタント諸君、存分に楽しむがいい。
(オリジナル: Oh, the emails you'll get...)
