子犬だ!

From The Joel on Software Translation Project

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Joel Spolsky / Fujimoto訳
2010年3月14日 日曜

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右に見えているのはTacoの写真だ。この子は生後10週目のシベリアンハスキーの子犬で、先週私たちのところにやってきたんだ!

Inc.でのコラムの最終回を読んで知っている人もいるかもしれないが、Joel on Softwareが10周年を迎える3月18日をもって私はブログを書くのをやめることにした。

Inc.で記事を書くのは非常に名誉なことだったが、自分のウェブサイトでウェブサイトに書くのとはかなり勝手が違っていた。私が投稿したどの記事も、とても有能な編集者のマイク・ホフマンがIncのスタイルに合うように大幅に書き直してくれたのだ。マイクが書き直すと、ほとんどの場合記事は良くなるのだけど、他方で自分自身の言葉だとはどうしても思えなくもなった。Inc.のコラムを見返してみても、実際のところ自分が書いたものではないように思われる。誰かが私を誘拐して、コロンビアジャーナリズムスクール出身の私そっくりな替え玉とすげかえたみたいな感じだ。あるいは、ジョエル・スポルスキーが左利きで、彼のやることなすことがちょっとだけ違っている別世界に紛れ込んだような。

私はものを書くのを完全にやめてしまうわけではない。

私がやめようと思っているのは、 この10年の間、Joel on Softwareを特徴付けてきた従来の独断的なエッセイだ。私は「VCにヨダレを垂らさせる10の方法」を書こうとは思わないし、「プログラマに100万円のイタリアンエスプレッソマシンを買ってやるべき理由」という記事も、「Pythonはアスペルガー症のギーク向けの言語」とか「Rubyは涙目のエモのティーンエージャーども向けの言語」とかいう記事も書くつもりはない。10年間やってきて、Hacker Newsのネタになるようなジャンルはどれも非常に退屈に思われるようになったのだ。この形式はなお素晴らしいものであるとは思うが...他の人たちはぜひとも頑張って書いてほしい...ただ私にはどうにも続けていくことができない。

まだここには記事を載せていくつもりだ——だから購読をやめないでほしい。新しいプロジェクトのお知らせとか、私がやっていることに関する話を置いたり、私が書くかもしれない諸々の記事(MercurialチュートリアルのHglnitみたいなもの)へのリンクを載せたりするつもりでいる。

インターネット評論家のエッセイのスタイルは、フィリップ・グリーンスパンとデイブ・ワイナー(Scripting Newsよりも前からあったDaveNetの人だ)によって切り開かれ、以来15年間とても上手く機能していた。彼らは最初はこの新しいメディアにおける孤独な声でしかなかったが、このジャンルは野火のように広まった。まさしく1990年のクリスチャン・スレーターの映画「今夜はトーク・ハード」が予言したとおりだった。この映画のことをもう忘れている人がいるかもしれないので、簡単に説明しておこう(ネタバレは無いよ): スレーターは自分の部屋に低出力のラジオ局を持っている子供を演じる。その子供は、真夜中に、他の孤独で不安を抱えた同じ高校の子供たちに向けて送信する。面白いドラマが続いて起こる。102分後、スタッフロールが流れるころには、あらゆる所のハイスクールの子供たちが自分の意見を海賊放送局を使って放送しはじめるようになっている。これこそ、今日に至るまでブログで起こってきたことだ。数百万の人々が自分の考えを語り出したのだ。それも、最初のブロガー達が作り上げたのと同じ語り口、物語、スタイルを使って。

私たちに今必要なのは、「銀の弾丸はない」の主張を繰り返す18,000番目のエッセイではなくて、もっと客観的なものであるように思われる(単なる成功したプロジェクトと失敗したプロジェクトのお話のリストではなくて、測定できるような真実と虚偽に基づいたもの)。18世紀のパンフレットを単に電子的な媒体に焼き直したものではなく、「この2010年において、物を書くということはどのような意味を持つのか」ということに関する最も優れた洞察を反映するようなものが必要なのだ。私たちは同じことを何度も何度も書き直すのを止める必要がある(フェイルファスト! NDAは役立たずだ! 重要なのはアイデアではなく実行だ! 仕事には正しいツールをつかえ!)。その代わりに、私たちは知識のロングテールを埋め始めるべきなのだ。 

だから、私は次の10年でそういうことをやっていこうと思っている。

私のえせ引退の詳細:

  • 私は講演の仕事をばっさりと切り落としているところだ。ボストンで10月に行われるBujiness of Software 2010での講演については既に約束していることなので、これだけは行う。
  • 現在の形式でのStackOverflowポッドキャストは今週で終わりにする。ジェフと私は新しい形式のものを作るのに取り組んでいて、たぶん面白くて新しくて今までとは違っているものを考え出せると思う。この詳細は追って連絡するので、そのまま聴きつづけていてほしい。現在の形式にはちょっと飽きてきたのだ。
  • 多くの人がTwitterを役に立つものだと考えていることは十分理解している。しかし、私には、Twitterは考えやアイデアを交換する方法として本当にひどいものであるとしか思われない。Twitterが作り出すのは精神が麻痺した世界で、そこではどんなに難しいことを考えても一行分にしかならない。Twitterは他の人の言葉に耳を傾けることなく、深淵に向かって自分の考えを叫び続ける人々の不快な声のこだまだ。ログオンすればページ一杯の小さな手榴弾——つまり理解不可能で、コンテキストの無い文の山がなだれこんでくる。これらを解読するには5分ばかり調べる必要があるのだが、実際調べてみると、その中身は馬鹿げていたり、見当違いだったり、テレビシリーズの宇宙空母ギャラクティカに関するものだったりするのだ。なぜTwitterを見ると私の頭が痛くなって、人類の未来が不安になるのかを説明するエッセイを書きたいぐらいだが、残念ながらそれを書くには140字の説明では短すぎる。現にこの段落でもう350字を費やしてしまっている。


(オリジナル: Puppy!)

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