「承諾期限付き内定」の季節
From The Joel on Software Translation Project
Joel Spolsky / Fujimoto訳
2008年11月26日 水曜
もしあなたが仕事やサマーインターンシップに応募している大学生なら、その交渉の場ではちょっと不利な立場に置かれることになる。リクルーターの方はこの交渉で生計を立てているのに、たぶんあなたはこれが初めてだからだ。
そこで、大学のキャンパスで求人活動をするリクルーターがよく使ってくる手口の一つについて注意しておきたいと思う。その手口というのは、ひねくれた「承諾期限付き内定」というやつだ。
| Tyler Griffin Hicks-Wright |
ことは次のようにして起こる。まず、あなたは良い会社から面接に招かれる。最初にキャンパスでの面接があって、もしかしたら次の面接(とカクテル)のためにその会社の本社まで飛んで行くことだってあるかもしれない。もちろん、あなたはやすやすと面接に通るだろう。そして会社からオファーを受けることになる。
「それはすばらしいですね」とあなたは言う。
「それでいつ返答をもらえるのかな?」
「ええと」とあなたは答え、「1月に別の会社の面接があるので、それが終わったらすぐにご連絡しますよ」
「ああ」と彼らは言う。「そいつは困ったな。12月31日までに分からないとだめなんだ。その日までに連絡してもらえないかな?」
ほら来た! こいつが悪名高き「承諾期限付き内定」だ。
あなたはこう考えることだろう。「この会社は良い会社で、第一志望じゃないけど、それでもオファーとしては悪くない。このチャンスを失うのは嫌だし、そもそも第一志望の会社に通るかどうかも分かりはしないんだ」それで第二志望の会社のオファーを受け入れてしまい、もう他の会社の面接に行くこともない。
その結果、あなたは大損を被ることになる。ATMから20ドルを引き出すこともできないような頭のおかしい上司のところにまわされて、人生の数年間を冷たく暗いキュービクルの中で過ごすはめになる。一方、どこぞのリクルーターはあなたより交渉が上手かったということで1000ドルのボーナスをもらうのだ。
| Tyler Griffin Hicks-Wright |
キャリアカウンセラーはこのことを知っていて、ほとんど例外なくこの手口を禁じている。どのキャンパスのリクルートセンターも「キャンパスで求人を行う企業は学生が他の会社からのオファーを検討し、意志を決定するのに十分な考慮期間を与えなくてはならない」という規則を定めている。
問題は、二流の会社のリクルーターはそんな規則など全く意に介さないということだ。彼らはあなたが大学生であり、生まれて初めての就職をめちゃくちゃにしたくないと思っていて、だからこの手口を非難したりはしないと知っているのだ。彼らは自分たちが二流の会社——十分良いけど、誰も念願の就職先とは思わないような会社——であることも分かっていて、「承諾期限付き内定」みたいなプレッシャーを与える戦略を使わなければ一流の学生を獲得できないということも理解している。
キャリアセンターがとる対応の中でも最悪のものは、彼らをキャンパスから弾き出すことだ。まったく大した対応策だ。彼らは就職説明会と面接をキャリアセンターの代わりにキャンパスの隣のホテルでやりだすんだから。
お望みの就職先を確保したい学生は、次の戦略をとるといい。
1.面接の日程をできるだけ短期間に詰めること。
2.第一志望でない会社から承諾期限の付いた内定をもらったら、食い下がること。例えば、「すいません。1月14日まではご返答できないと思います。それで間に合うならうれしいのですが」と言ってみるとか。押せば、ほとんどの企業は別の会社のオファーを検討する機会を与えてくれるだろう。関係が壊れてしまうんじゃないかとか、怒らせてしまうんじゃないかなんて心配は御無用。次の一点だけは信用してくれていい: あなたを雇いたいと思っていながら、あなたが他の会社のオファーも検討しているからといって腹を立てるような雇用担当者など一人もいない。実のところ、これはまったく逆に働くのだ。他の会社もあなたを欲しがっているとわかったなら、彼らはもっと欲しがるようになることだろう。
| Tyler Griffin Hicks-Wright |
3.まれに拒否されることもあるが、その場合は期限ぎりぎりに承諾しておいて、とにかく他の面接も受けにいくこと。契約ボーナスの小切手は絶対に換金してはならないし、どんな書類にもサインしてはいけない。ただ口頭で承諾するに止めること。それで、その後もっと良いオファーをもらったら、その汚い会社に電話をかけなおして、気が変わったと伝えるんだ。いいかい、マイクロソフトは毎年数千もの大学生を採用するんだ。仮にその中の一人がいなくなっても、彼らは何とかやっていけるだろう。どうにせよ、修正13条ってものがあるから、無理にあなたをその会社で働かせるなんてことはできないのだ。
実際にオファーを断らなくてはならなくなったときは、上品にやること。これは彼らが第一志望の会社の採否を受け取る機会を与えることを文字通り拒んだせいで、本当にどうしようもなくなった場合にしかやってはいけない。そして、すぐにオファーを断わる旨を伝えること。そうすれば、その会社もあなたの枠を別の人で補充する余裕が持てる。
キャンパスで求人活動をするリクルーターは大学生の高い倫理観をあてにしている。ほとんどの大学生は「ああ、彼らのところに就職するって約束しちゃったよ。約束はまもらなくちゃ」というように考えるのだ。これは素晴らしいことだし、立派な態度であることは間違いない。しかし、あなたが他の会社を検討することを望まず、あなたの将来がどうなろうと気にかけないような汚いリクルーターは、ボーナスのためにその倫理観を食い物にするだろう。そして、それは端的にフェアではないのだ。
(オリジナル: Exploding Offer Season)
