Fog Creek Softwareマネジメントトレーニングプログラム
From The Joel on Software Translation Project
Joel Spolsky / 青木靖 訳
2005年10月26日 水曜
私は10代の頃、こんな風にしてオラニムパン工場の夜間シフトの動かし方を覚えた。
最初すごい量の掃除をする。機械からパン生地を取り除く清掃を何ヶ月かしていると、機械がどんなものであり、どういう仕組みになっていて、どの部分が重要なのかよく分かるようになる。
次にパン生地こね機の運転を、本当に上手くやれるようになるまで何ヶ月間かやる。それからロールパンの作り方を学ぶ。そのあと夜間のパン製造をコントロールしているコンピュータの操作をやらせてもらえるようになる。運が良ければ、コンピュータが1度か2度故障して、マニュアルでやる方法を学ぶことができるだろう。これは本当にクールだ。
最後に、あなたが本当に優れていたなら、ユセフの元でオーブンの番をさせてもらえるだろう。ユセフは100歳くらいの老人で、恐ろしいほどのオーブンの達人だ。オーブンの中でパンがコンベアベルトにくっついてしまう問題を解決する方法をガッビが見せようとしたとき、彼は10分も馬鹿みたいに行ったり来たり走り回って、ノブを回したり、レバーを引いたり、ヒーターの向きを変えたりし、そうやってもがき回っている間にも何百というパンが焦げてしまった。しかし同じ問題に対して、ユセフは一見関係なさそうな煙突の小さなノブを右に1度ほど回す。それは理にかなってないし、彼自身なぜそれでうまく行くのか説明できないのだが、実際うまく行くのだ。問題は即座に解決してすぐに完璧なパンが出てきはじめる。80フィートのトンネルになっているオーブン内部の温度と湿度の間の複雑な関係について本当に理解できるようになるには、さらに2年くらいかかった。しかしユセフのように問題を解決できるようになるまでには、たぶん10年以上かかるだろう。
パン工場のあらゆる仕事をして一年かそこらが過ぎたとき、自分の率いているクルーたちから信頼されるようになる。それはあなたが彼らの仕事をやれることをみんな知っているからだ。ほかの誰も理解していないような仕方で、パン工場を完全かつ包括的に理解している。良いマネージャと悪いマネージャを目にする機会があり、うまくいかなくなる可能性のあるさまざまなことについて経験を積み、それをどう直すか(そしてどう直さずに済ますか)を見てきた。そうやって毎晩何十万というパンを製造する5000万ドルの工場の運転を委ねることのできる人間となる。
そして彼らはあなたに夜間シフトを任せるようになる。
もっとも、自分ではどれほど分かってるつもりでいようと、ユセフはたぶんあなたのことをほとんど無視するだろうけれど。
私がこの話をしたのは、次の告知をするためだ。
Fog Creekでは新しい種類の従業員の採用を計画している。
これまでは、私たちが採用するのはほとんどがプログラマだった。それは始めだったからだが、しかし次世代のマネージャを採用しはじめる必要もある。
プログラマをマネージャに昇進させることにまずいことは何もないのだが、マネジメントはプログラミングとは異なる仕事であり、異なるスキルが必要になる。優れた開発者の多くは、マネージャとしてはひどいものであり、誰かをその人が好きで上手くやれる職から、嫌いで上手くやれない職へと昇進させるのはばかげている。私たちはプログラマが給与水準を上げるためにマネジメントに移行しなくとも済む明確なキャリアパスを計画している。
では、どうやって次世代のマネージャを育てるのか? 私たちはMBAを雇いたいとは思わない。それはMBAというのが常識や経験を読書で置き換えてしまっている証拠があまりにもたくさんあるからだ。ハーバードで2年間ファイナンスの講義を受けた人よりも、利益を上げているレモネードスタンドを作って営業している人を採用したい。ハーバードのMBAというのは自分で実際に知っている以上のことを知っているつもりでいるからだ。
私たちが今考えているのは、新しい世代のリーダーを一から鍛え上げるということだ。
そのために、私たちは実験的な新しいプログラムである、Fog Creekソフトウェアマネジメントトレーニングプログラムを立ち上げようとしている。ひどい名前だが、それは我慢してもらいたい。
これは入門レベルのプログラムで、本格的に仕事をした経験は要求しない。大学の学位があれば大きなプラスになる。このプログラムは約3年続く。フォーマルなトレーニングに加え、実際のコーディングを除くソフトウェア開発のあらゆる側面を体験することになる。
これは仕事だ。高い初任給、Fog Creek Softwareの制限付き株式、それにアーロンチェアから無料のランチまで盛り沢山の特典がある。プログラマである必要も、コンピュータサイエンス専攻である必要もないが、ずばぬけて頭が良く、物事を成し遂げるタイプの人間であることが求められる。
このプログラムの中心となる部分は、Fog Creek Softwareのあらゆる仕事をローテーションして行うということだ。プログラムの参加者は3年の間に10個ほどの異なる仕事をこなすことになる。
- プロジェクトマネジメント
- テクニカルサポート
- インサイドセールス
- ソフトウェアテスト
- ユーザビリティテスト
- ソフトウェアデザイン
- プログラムマネジメント
- ベータテストマネジメント
- マーケティング
- ビルドマネジメント
・・・ときにはすべてを1日の内にやることになる! ハイテク企業を率いる準備として、ハイテク企業のするあらゆることについて、経験豊かなベテランの指導の元でしっかりとした経験を積むことに勝る方法はない。
補足としてフォーマルなトレーニングも行う。その中には、近くの大学での授業への参加や、課題図書の長いリスト、集中的なオフサイトトレーニングプログラム、私たちが特に価値があると思うカンファレンスへの派遣などが含まれる。
フルタイムのMBAプログラムのように、授業料に12万ドルも払ったり、20万ドルの給与をふいにすることもない。あなたは給与を得、 Fog Creekが順調なら株も価値を生むはずだ。マネジメントコンサルティングのように1日18時間働く必要はないし、毎週月曜日に中西部の小さな町に飛んでいき、年中ホテル住まいする必要もない。
このプログラムの趣旨はFog Creekの新しい世代のリーダーを育てるということだが、しかしこのプログラムはあらゆるハイテク企業やハイテクチームを率い、運営し、立ち上げるためのいい準備になるだろう。プログラムが期待通り成功すれば、長い目では、私たち自身の目的に必要なよりも2倍の卒業生が送り出され、彼らは自分の会社を立ち上げたり、この業界の別な会社で高い地位を得たり、大学に戻って研究を続けることになるだろう。いずれにせよ、これは自分をプログラマとは思っていない野心のある頭のいいギークたちに素晴らしいチャンスになると思う。
2006年夏から働き始めることになる訓練生の最初の応募を受け付けている。応募するには、あなたが適している理由を説明する手紙と、履歴書と、標準テストのスコアをjobs@fogcreek.comに送ってもらいたい。
注意事項: 私たちは、アメリカで恒久的に働く法的権利を有し、ニューヨークで面接を受けられる人の応募しか受け付けられない。Fog Creek Softwareは採用に際して、人種、肌の色、宗教、性別、国籍、年齢、兵役適格性、退役ステータス、性的指向、結婚状況、身体障害、その他いかなる保護クラスによっても差別しない。私たちは職場の多様性を支持している。




